長い社会人生活、必ずしも順風満帆とはいきません。色々な状況により、どうしてもしばらく休まないと体力やメンタルの限界を迎えてしまう(あるいはとうに超えてしまった)ことがあるのも、十分にあり得ることです。
でも、仕事を長期間休むと次のようなことが心配になりますよね。
休むとなるとある程度収入や評価に影響するのも致し方ないところもあります。ですがまずは身体を休めることを最優先にすることが一番と思います。身体、特にメンタルの不調は一回崩してしまうと回復にとても時間を要します。
そうはいっても罪悪感が…という気持ちになるのも分かります。そこでこの記事では少しでも休むことに対して罪悪感が減らせるように、そして後押しができるように、まずは対処法の紹介と、私と私の周りの人達の事例とそこから私なりに分かったことをお伝えします。
大丈夫です。仕事をしばらく休む人なんて世の中に沢山います。あなたも遠慮することはありません。
しばらく休みたいと思った時の対処法:然るべき場所への相談
まずは休みたいと思った時、どうすればいいのか?ケースバイケースで動き方は変える必要がありますが、まずは然るべき人 or サービスに相談することから始まると思います。
相談相手その1.上司
まず相談できる相手で一番近い存在が上司でしょう。上司に休みたいことを相談すれば何らかの対処はしてくれると思います。
ただしこれは上司といい関係が築けているときのみの話。あなたは今気が弱っている状態でしょうから、上司が怖い人だった場合、うかつに相談できないかもしれません。
その場合は次に紹介する別の窓口へ出向くことにしましょう。
ちなみに私は上司に相談しました。一時的に気は楽になりましたが、根本的な解決には至りませんでした。
相談相手その2.人事 or 会社の専用相談窓口(あれば)
自部署の上司以外でこのようなことを担当しているのは人事であるケースが多いです。
まず、専用の連絡先があるのなら、そちらを利用しましょう。もしなければ、あなたが就職活動中お世話になった人事の人がいるのなら、その人に直接連絡してみるのも手かもしれません。
直属の上司に相談しづらい場合、普段仕事で絡むことの少ない人事の方が相談しやすいと思います。
相談相手その3.会社の健康保険組合のメンタルヘルス相談窓口
会社が加入している健康保険組合も利用できるかもしれません。
大体の場合、そういった情報は定期的に配布される機関誌か、ウェブサイトに掲載があると思いますので一度確認をしてみるようにしましょう。
そこに相談したうえで、次に会社に対してどういった手段をとればいいのか聞いてみると何らかのアドバイスをもらえるかもしれません。
収入への影響
収入への影響はどうなるのか?一番気になるところだと思います。
多くの場合では会社から給与の支払いはないものと考えていいでしょう。そうはいってもご自身も生活がありますし、全く無収入になるわけにもいきません。
そんな時には会社が加入している保険組合から「傷病手当金」が支給されます。傷病手当金の額は決まっていて、ざっくりいうと「給与の2 / 3に相当する額」が支給されます。
傷病手当金の額は、一日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した十二月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。以下この項において同じ。)を平均した額の三十分の一に相当する額(その額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)の三分の二に相当する金額(その金額に、五十銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げるものとする。)とする。
健康保険法 第九十九条より引用
私の周りの休職した人たちの話
まずは私の周りの人たちのエピソードをお伝えします。
その1.年明けに突然姿を消した私のリーダーの話
まず1人目は私が所属していたチームのリーダーの話。
とある年が明けた、仕事始めの日でした。周りの人に年明けの挨拶をしつつ、リーダーに相談したいことがあったので出社を待っていました。
ですが、いつまでたってもリーダーが出社してきません。どうしたんだろうと思いつつも仕事を続けていると、部長から次のことを告げられました。
「〇〇(リーダーの名前)が、体調不良で長期休職に入る」
それを聞いて、頭が真っ白になりました。したかった相談ができなかったというよりも、次の思いの方が強かったです。
「えっ、あの〇〇さんが?!」
そのリーダーはとても仕事が出来る人で、メンタルも私から見ればとても強そうに見えました。ですが度重なる仕事へのストレスでダウンしてしまったのです。
驚きと同時に、リーダーが抱えていた仕事を自分たちチームメンバーが引き継ぐことになりてんやわんや。
なんとか仕事の引継ぎをこなすことができましたが、まぁそれは良いとして、この出来事は私にとってなかなか衝撃的な出来事でした。まさかあの人がメンタルをやられるなんて…と。
この人は復帰後に別の部署へ異動になり、今までやっていた仕事とあまり関係のない仕事をやることになりました。
その2.若くして課長になった仕事のできる人
次のケースですが、この人もかなり仕事ができる人で、リーダー的な素養を持った人でした。
エンジニアとしての知識や経験があり、人をまとめることも上手かったので、若くして課長に抜擢された人でした。この人はもともと私とは違うチームのリーダーだったのですが、私は最初この人のオーラに気おされて身構えながらしゃべっていました(別に怖い人じゃなかったのですが(笑))
知識もある。経験もある。リーダーシップもある。私から見るとホントにうらやましい限りの人で、この人はこのまま出世街道まっしぐらなんだろうなと思っていたら、なんと休職へ。
凄くできる人だったからすごく勿体ない。そんなことを考えていたのが思い出されます。
結局この人も復帰後に別の部署へ異動になり、課長ではなく一主任として働くようになりました。
その3.上司のあたりがきつく、メンタルをやられてしまった人
今度のケースは、上司のあたりがきつくてメンタルをやられてしまった人の話です。
もともとその人とその上司がそりが合わないということや、その人自身もそんなに仕事ができるタイプじゃないという事もあり、そういった事情が重なってメンタルをやられてしまったのだと思います。
私はこの人と仕事であまりかかわったことがなかったので詳細はよくわからないのですが、何回か休職と復帰を繰り返していたようです。
休んだ人たちを見ていて分かった3つのことと、2つのメリット
ここに挙げた人達意外にも長期で休んだ人を何人か見てきたのですが、そんな人たちを見てきて分かったこともあります。
どんな人でもたたかれ続ければいずれダメになる
この人たち、特にその1のリーダーとその2の課長が休職することを目の当たりにした経験は、私にとって結構な価値観の変化をもたらしました。
メンタルをやられるなんて言う人は、私みたいなそこまで気の強くない人間だけが被ることだとばかり思っていたわけです。彼らは明らかに陽キャなタイプで、そういった人はどんな逆境にも立ち向かっていけるものと思っていました。
でもそうではない。叩かれて無傷な人間はいない、という事です。
休んだことを責める人はそうそういない
私以外の周りの人もびっくりはしていましたが、それでも休職した人たちのことを「根性がない」「無責任」と責める人は誰一人としていませんでした。むしろ体調の心配をする声ぐらいしかなかったですね。
自分が感じる罪悪感よりも、周囲の人たちの非難の目はずっと小さいです。
なので、休んだからと言って自分自身を責める必要は全くありません。誰かに迷惑かけてナンボの社会人だと思って、思いっきり休むようにしましょう。
後のことは誰かが何とかする
あなた一人が会社にいるわけではありません。会社には同僚もいれば、部下、上司もいます。あなたの仕事をカバーしてくれる人が必ずいます。
もちろん責任感を持って仕事をすることも必要です。ですが自分のメンタルを壊してまで持つ責任感は必要ありません。
仕事なんて所詮はお金を稼ぐためだけにやっていること。そこが最優先かつ根本の目的です。同じ会社で働く人たちの為とか、会社の為とか、社会の為とか、そういった外部への奉公意識は自身の健全なメンタルがあって初めて考えることです。
もちろん誰かに迷惑をかけてしまう事は否めませんが、それでも上に書いた通りあなたを非難する人はそうそういないはず。まずは自分の身体を最優先に考えて、遠慮なく休んでしまいましょう。
部署異動で嫌な仕事から縁を切れる
一回休職をすると、大体のケースで部署異動が行われます。(必ずそうだとも言い難いですが)
つまり、自分を追い詰めていた仕事から多かれ少なかれ縁を切れるという事になります。
もしかしたら未練もあるかもしれませんが、案外切ってみるとすっきりするものです。私は転職した身なので、前職の仕事からすっぱりと縁を切ったわけですが、もう開放感しかありませんでした(余談で後述しています)
そんなものです。嫌なものとはスパッと縁を切ってしまう事をお勧めします。
休んだら回復ができる
休職から回復して別部署で働くことになった人たちを横目で見ていて、やはり体力的、精神的に回復しているというのが明らかに見て取れました。
凄く気軽に仕事してる感が醸し出されていました。
とにかく人間回復するには休みが必要です。社会人生活はまだまだ続きます。今後の人生に重大な悪影響を出さないためにも、ぜひ休みを取ってリフレッシュしてみてください。
しばらく休みたいと思えるほどに身体的精神的に削られたのですが、少しぐらい休んだって罰は当たりません。
批判もあったし誰も助けてくれないし、回復もできなさそうなら
上にいい事ばかり書きましたが、日本の職場は千差万別。
しばらく休むことで批判されたり、誰も助けてくれなかったり、復帰したとしてもまた同じことの繰り返しになりそうな職場も世の中にはあるのかもしれません。
もしそのような職場が存在するのなら、そこは社員の心がかなり荒んだ、ブラックな香りのする会社と言えます。
客観的な立場から見て、そんな会社で働き続けることはあなたの今後にとってかなり危険と言えますので、転職など、会社から離れることを見据えたほうがいいと思います。
余談:転職前に有給2か月フルに使って休みを取った私のこと
私は休職をした身ではなく転職をした身なのですが、転職直前までメンタルをかなりやられかけていました。そうしたこともあって有休は40日フルにたまっていたので、全て使って転職までの2か月間休みをとることにしたのです。
辞める直前まで私が持っていた仕事が次のようなものになります。
どれも会社にとってなくてはならない仕事です。しかも、私が持っていた仕事は熟知している人が社内にほとんどいない状態のものもありました。
休みを2か月とった後に転職をしたという事は、これらの仕事を全て放り出したことに他なりません。
これらに対して全く罪悪感を感じていないわけではありませんでした。ですが罪悪感以上に「解放された!もうこれ以上この仕事に関わらなくて済む!」という思いの方が圧倒的に大きかったです。
放り出したことにより、会社から何かを求められることも、とがめられることも一切ありませんでした。そして私の後の人生に何の悪影響も及ぼすこともなかったのです。
最後の挨拶を済ませて休みに入った次の日から2か月間、メンタルをやられかけていた状態から一気に解放されたので、本当に心も体もリフレッシュできました。
おかげさまで転職先の仕事はスムースに始めることができました。
まとめ
社会人生活はよくも悪くも長いです。30~40年ぐらいでしょうか。その中のたった数か月休んだところで罪悪感を感じる必要はありません。
むしろ今休まないと、体を壊し切った後では長く尾を引いていきます。
昭和時代のごとく、根性出して踏ん張って仕事をするのも結構なことですが、あまり古い考えに引っ張られて粘りすぎないよう、休む時には休むことも真剣に考えてみてください。